強迫性障害とは

強迫観念、あるいは強迫行為のいずれか、あるいは両方の症状がみられる状態を強迫性障害と言います。強迫観念とは、自分の意思とは関係なく頭の中で繰り返し浮かぶとされる考えや衝動、イメージであり、意識しなくても強制的に頭の中に侵入してくるものであり、好ましくないものとして体験されます。また強迫行為とは、強迫観念を頭の中から打ち消したいとばかりに延々と続けている行動になります。具体的には、繰り返しの行動(手を洗う、順番に並べる、確認するなど)、心の中の行為(祈る、数える、声を出さずに心のなかで言葉を繰り返すなど)などを含みます。

例を挙げると、手が汚れているという強迫観念を振り払おうと何十分も手を洗い続けているのが強迫行為です。

これら強迫観念、強迫行為により、強い苦痛を生じつつ、1日1時間以上の長時間を浪費してしまうため、日常生活、社会生活に著しい障害を生じます。

上記以外にも、ガス栓や戸締りが不安で何度も家に戻って確かめる(確認行為)、誰かを傷つけるかもしないという恐怖から刃物等を持つことができない(加害恐怖)、決まった順番で物事を行わないと気が済まない(強迫儀式)といったこともあります。

多くの場合、これらの考えや行動が無意味で不合理、過剰であることを患者様自身も認識していますが、制御することができなくなっています。不安を打ち消すために「大丈夫」と言ってもらおうと、何度も家族や友人に保証を求め、身近な方々を巻き込むこともあります。

発症の原因は諸説あるものの特定されていません。

治療について

薬物療法と精神療法を組み合わせて行います。薬物療法では、抗うつ薬(SSRI)や抗不安薬を使用します。精神療法では、認知行動療法を行います。この場合、手洗い等、あえてやらずにはいられない環境を整え、それを我慢する訓練をしていきます(曝露反応妨害法)。