社交不安障害とは
大勢の人の前で話すこと、面識のない人と会って話をするという社交場面が苦手という方は少なくないと思われます。ただこのような多くの人の注目を浴びる、人の目にさらされるなどのシチュエーションに強い恐怖や不安を感じてしまい、そのような場面をできるだけ避けたいという思いが強くなって、外出を避けるなど社会生活に支障をきたすようになると社会性不安障害と診断されます。
発症の原因については、完全に特定されてはいません。現時点では、大脳の一部である扁桃体の過剰な活動や、前頭前皮質の機能不全が想定されています。もともとの気質による影響や、小児期の虐待経験、これまでに強いストレスを感じる場面にさらされた、屈辱的な扱いを受けた体験などが要因となる可能性も指摘されています。
不安や恐怖を強く感じるため、人前で話をする・食事をする・字を書く、他人と会話する、人に意見を述べる、パーティに参加するなどのような、社会的状況を避けるようになります。そして、強い不安を感じる結果として、発汗、手の震え、動悸、赤面、吐き気などの身体症状が現れることもあります。これらの症状は、単なる「内気」と一言で片付ける事ができない、症状の重さがあり、症状は通常6ヶ月以上持続し、社会生活に著しく支障をきたします。
治療について
主に薬物療法と精神療法が行われます。薬物療法では、不安や恐怖の症状を軽減させるために、抗不安薬や抗うつ薬(SSRI)等を使用していきます。人前で発表する前だけ、など特定の場面のみで症状が起こる場合は、発表直前に抗不安薬の頓服を服用することもあります。精神療法では、基本的に患者様の不安を受け止め、それに向き合うための工夫や心構えなどについて話し合います。