統合失調症とは
統合失調症は、およそ100人に1人の割合で発症する可能性があるとされる心の病気です。年代としては、10代後半から30代までの時期に発症しやすいとされ、自らの考えや気持ちにまとまりがつかない状態になっています。なお男女差では、男性の患者様がやや多いです。
症状は様々なものがありますが、大きくは陽性症状と陰性症状に分けられます。前者は発症初期に現れやすいとされ、幻覚(幻聴)や妄想(被害妄想)をはじめ、考えをまとめられなくなるなどの思考障害や異常行動がみられるようになります。後者は同疾患の慢性期になると起きやすいとされ、感情が乏しくなる、意欲が低下する、自分の世界に閉じこもる等の症状が見受けられるようになります。ちなみに発症前に前駆症状が現れることもあります。この場合、不眠、性格の変化、なんとなく周囲の世界が不気味に変化してしまったような言葉では言い表しにくい不安(妄想気分)などがみられるようになります。
発症の原因については現時点で特定されていません。もともと統合失調症を発症しやすいとされる方が、人間関係などのストレス、進学、就職、転職、転勤、引越、結婚といった大きな環境変化やライフステージの変化、身体的成長に伴うホルモンバランスの変化など、様々な要因が重なった結果発症すると言われています。
治療について
薬物療法では抗精神病薬を用います。抗精神病薬は、定型抗精神病薬(ハロペリドール、クロルプロマジンなど)が長年用いられてきましたが、最近では薬の副作用(パーキンソン症候群)が少なく、陰性症状にも効果があるとされる非定型抗精神病薬(リスペリドン、オランザピン、クエチアピン、アリピプラゾールなど)を主に使用することが多いです。副作用としては、パーキンソン症候群(手足が震える、身体の動きが硬くなる、小刻みな歩行になるなど)、太りやすくなる、血糖値が高くなるなどの副作用がみられます。心電図異常を来たすこともあるので、定期的に心電図検査を行います。精神療法としては、医師などが患者様の話を聞き、アドバイスなどをしていくカウンセリングの一種でもある支持的精神療法を中心に行います。また同じ境遇にある患者様同士が話し合いをしていくことで悩みなどを共有し、症状などを改善させていく集団精神療法を実践することもあります。
中には、薬が効きにくい、少量の薬でも副作用が出やすいなど、治療が難しいタイプの統合失調症もあります。その場合は、修正型電気けいれん療法や、難治性統合失調症のための治療薬(クロザピン)による治療を行う場合もあります。これらの治療が必要となった場合には、実施可能な医療機関を紹介いたします。
統合失調症は、症状が落ち着いている時の過ごし方もとても大切です。精神科デイケアなどを利用し、リハビリテーションを行いながら社会復帰を目指す方もたくさんいらっしゃいます。