月経前不快気分障害とは

月経前の約1週間に続く精神的(イライラ、抑うつ気分、不安、過食、集中困難など)、身体的(下腹部痛、頭痛、腰痛、発汗、のぼせなど)な不快症状で、月経開始とともに症状がおさまるものを月経前症候群(PMS: Premenstrual Syndrome)と呼びます。その症状の中でも特に精神的不快症状が重いものを月経前不快気分障害と呼び、精神科・心療内科で治療を必要とすることがあります。妊娠可能な女性の約5%が経験する症状で、女性にとっては毎月のことでもあり、とても身近で辛いものです。

治療について

女性の性周期には、排卵後の黄体期にプロゲステロンという女性ホルモンが高まる周期があります。PMDDはこのプロゲステロンが高まる時期に起こります。プロゲステロンが高まると、神経伝達物質であるセロトニンの機能が低下し気分症状を生じます。また、プロゲステロンの増減に伴い、脳内GABA受容体の働きに変化が起こり、過敏性が高まるとも言われています。これらの働きを調整するために行われる治療としては、低用量ピル(*当院では低用量ピルを処方しておりませんので、ご希望の方は婦人科にご相談ください)を用いたり、月経前の1~2週間のみSSRI(セルトラリンなど)を用いたりします。よりマイルドな作用を期待し、漢方薬やビタミン製剤を用いることもあります。なお、カフェインがPMDDの症状を悪化させるという報告もあり、月経前はコーヒーやお茶などを控えたほうが良いでしょう。月経周期とそれに伴う症状をしっかり記録することにより、より効果的に症状に備えることもできるので、ぜひアプリなどを利用して月経管理を行いましょう。